植え替え実践編
植え替えのタイミングは微妙ですが覚えてしまえばどうってことはありません!実際当店では1年中植え替えをしています。これは多品種を扱っているからと、時間がないのも事実!年中輸入されてくるのも事実!しかしながら家の温室にあるものはできるだけ適期に植え替えをしたいものです。では植え替えの適期とは? 今まではよく春にとかG−ウイークにとか言ってましたが最近の夏の猛暑と季節が1月早まっている傾向にありますから、関西では1か月前倒しで植え替えを行います。これは7月からの猛暑(熱帯夜)に備える事を第一に考えています。ランはそもそも熱帯地方に良く自生していますが、標高の高いところ(1000mから2000m)までが多く、実は昼は暑くても夜は涼しい所が多いのです、ですので日本の熱帯夜は大嫌い!根の動きも止まってします。だからこの熱帯夜がやって来る前に、植え替えた新しいコンポストにしっかりと根が張っている事が大切なんです。以上のことを踏まえて植え替えの時期を探りますが、一番大事なのは毎日よく観察して根が動き出して来た時!ここを狙って植え替えをするとまず間違いはありません。早い人では2月から植え替えをしています。
植え替え作業 1) 鉢から取り出す
先ずは鉢から株を取り出します。新芽を傷つけないように、ナイフ等を用いて取りだすか、又は鉢を横に
して上から叩いて割ります。素焼き鉢は2回使えません(再度焼き直しが必要です)
これくらいの根の動き加減が植え替え適期です。若い根はできるだけ大切に!折れてもすぐに伸びます。
支柱とラベルを取ります。支柱したままだと植え替えにくいです。
鉢を横にして上から抑えたりたたいたりすると簡単に割れます。
植え替え作業 2) 根をさばく
根の張り具合をよく観察します。リード側(新芽側)は
新しい根が沢山ありますしコンポストも新しいですので
ほとんど触りません。上部の青いコケの所だけを綺麗
にする程度でOK。バック側は古い根やテンションの落
ちた古い苔は取り除いた方がいいです。すべて綺麗に
してしまう必要はありません。全体の50%は残してくだ
さい。(コンポストが古い場合は一度全て取り除いた方
が良い場合がある
植え替え作業 3) トリミング
以外にこの作業が上手く植え替えられるか?どうか
のポイントになります。どこを切り取れば次の成長の
ために合理的か?鉢増しの場合はカットしませんが、
5号鉢くらいまでに成長した株はバックの方から毎年
2バルブカットしていくと何時も同じ鉢に収まります。
間違っても真っ二つなんかにはせず、KEEPする株
と捨てる株に分けて、自分はいつも大きなKEEP株
だけを持って毎年咲かせましょう。1品種KEEP部分
1鉢を原則に綺麗に育てます。株分けしても何にもな
りません。場所が入って花は咲かないのです。
7バルブでしたがバックの2バルブを切り取ります。
完全に切り取った状態です。バックは植えると芽が出
てきますが通常は1品種1鉢目標ですから感謝しつつ
も処分した方があとあといいですよ。
中央部の古い根とミズゴケを取ります。外周に根が
いっぱいありますので、あまり触りません。この場合
はミズゴケがまだいい状態ですからミズゴケはあえて
外しません。
植え替え作業 4) 鉢選び
鉢を選ぶのも1つのポイントです。
根をさばいた時にあまり調子の良くなかった(根の張りが
いまいちな)株は大きな鉢を選ばずキチキチの小さめ鉢を
チョイスしましょう。健全な株であれば、一回り大きめか、
春・夏と2バルブでる新芽のスペースを考えて鉢を選びましょう。
鉢底に網を敷いて発砲スチロールを少ししきます。スチロール
の隙間が多湿空間となり、そこに根が沢山集まります。
植え替え作業 5) 植え込み
先ずリードバルブ側にミズゴケを付けて一気に株の周りに
ミズゴケをまいて行きます。
これで出来上がり!ウオータースペースを1〜2cm
作ってます。リゾーム(ほふく茎)とミズゴケの上面は
なるべく平行に植えます。
植え替え作業 6) 支柱立て
植え替え直後にちゃんと支柱を立てておくと、その後の
新芽もまっすぐに伸びてくれます。「親が真っ直ぐなら子
供もまっすぐ育つ」と言うわけです。一番立てたいのは
新芽が出る前の親芽です。鉢底に発砲スチロールを入
れてますので、これに支柱が刺さり安定するのです。
この発砲スチロールでできる空間はミズゴケの節約にも
なりますし、支柱を支える役目、何よりもこの多湿になる
空間に根が沢山入り込みます。
植え替え作業 7) 植え替え後の水やり
植え替え直後は水は与えません。(パフィオ等の砂利植えの場合は別)
ひと月程は葉水等で蒸散を抑えてあげて太い根が鉢に当たるまでガマンします。
喉が渇いた状態にすると沢山の根が出ます。月に2回程度にします。
また、植え替え前から発根剤等を与えるのも効果的です。